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『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』(橘玲著、幻冬舎文庫)は、人間の性格や行動が意識ではなく「無意識」によって決定されているという視点から、「わたし」とは何かという問いを探求する一冊です。

本書では、この無意識を「スピリチュアル」と呼び、最新の脳科学や心理学の知見をもとに、人間の本質を8つの要素で説明しています。
その8つの要素とは以下の通りです
- 明るい/暗い(外向性/内向性)
- 楽観的/悲観的(神経症傾向の逆)
- 同調性が高い/低い(協調性の一部)
- 相手に共感しやすい/冷淡(協調性のもう一部)
- 信頼できる/あてにならない(堅実性)
- 面白い/つまらない(経験への開放性)
- 知能が高い/低い
- 外見が魅力的/そうでない

これらの要素は、心理学の「ビッグファイブ」理論を基に拡張されたもので、人間の性格や資質がこの組み合わせによって形成されると主張します。
著者は、無意識がこれらの特性を決定し、それが個人の行動や人生に大きな影響を与えると述べています。例えば、外向的な人は刺激を求める一方、内向的な人は安定を好む傾向があるなど、具体的な例を挙げて説明しています。
さらに、本書では、無意識の力が現代社会でどのように利用されているかも触れられています。特に、SNSやビッグデータを活用した心理プロファイリングが選挙やマーケティングに影響を与えた事例(例: トランプ氏の選挙戦略)を紹介し、個人の「スピリチュアル」が外部から操作され得る現実を示唆します。
結論として、著者は「自分を変える」ことよりも、自分の無意識(スピリチュアル)に合った環境や生き方を選ぶことが幸福への鍵だと提案します。付録にはビッグファイブに基づく自己診断テストも含まれており、読者が自身の性格を理解する手助けとなる内容となっています。
この本は、スピリチュアルという言葉から連想される神秘主義とは異なり、科学的な視点から「わたし」の謎に迫る、論理的かつ実践的な一冊です。
興味のある方は是非本書を手に取ってみてください!