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『60歳からの知っておくべき経済学 (扶桑社新書)』(高橋洋一)は、人生100年時代を迎えた高齢者向けに、経済学の基礎知識をわかりやすく解説した書籍です。著者は、経済学を学ぶことで日常生活や老後の生活設計をより深く理解し、理性的な判断ができるようになると主張しています。特に、退職金や年金、資産運用など、シニア世代にとって身近なテーマに焦点を当て、正しい経済知識が生活を守る鍵となると強調します。

本書は以下の構成で展開されます
序章 学び直しの姿勢
この章では、60歳以降の人生を豊かに生きるために、経済学を学び直す意義が強調されます。高橋洋一は、長寿化社会で老後が長くなる現代において、経済リテラシーが自己防衛や生活設計に不可欠だと主張します。具体的には、「お金に関する判断を他人任せにしない」「情報に振り回されない理性を持つ」といった姿勢を提唱。経済学を学ぶことで、ニュースや政策の裏側を見抜く力が身につくと説きます。
第1章 経済の一般常識
経済学の入門編として、マクロ経済学(国全体の経済)とミクロ経済学(個々の行動)の基本を解説します。
- マクロ経済学: GDP(国内総生産)、インフレ率、失業率など国の経済指標を扱い、それらが生活にどう影響するかを説明。例えば、「GDPが成長すると給料が上がるのか?」といった疑問に答えます。
- ミクロ経済学: 需要と供給のバランスや価格決定の仕組みを、身近な例(スーパーの値引きなど)で紹介。経済学が日常生活に密接に関係していることを示します。 高橋は数式を極力使わず、図表や具体例で直感的に理解できるように工夫しています。
第2章 日本の財政の真実
日本の財政赤字や国債問題について、データをもとに実態を明らかにします。
- 日本の借金が「1000兆円を超える」とよく言われますが、高橋は「国の資産も考慮すべき」と指摘。純債務で見ると状況は異なることを説明します。
- 財政破綻論に対して懐疑的で、「日本が破綻する」という主張が誇張されがちだと批判。通貨発行権を持つ国の経済を、一般家庭の家計と単純比較するのは誤りだと強調します。
- シニア世代にとって、財政状況が年金や医療にどう影響するかを知る手がかりを提供します。

第3章 知っておきたい税の基本
税金の仕組みとその経済的影響を解説し、シニアが知っておくべきポイントを整理します。
- 所得税、消費税、相続税などの基本構造を説明。特に、退職金や年金にかかる税金の注意点を挙げます。
- 「税金は経済を動かすツール」という視点から、増税や減税が景気や個人の生活にどう影響するかを分析。
- 高齢者にとって負担感の大きい消費税について、そのメリット(安定財源)とデメリット(生活圧迫)をバランスよく提示します。
第4章 社会保障・年金のイロハ
日本の社会保障制度と年金システムの現状を詳しく掘り下げます。
- 年金の仕組み(賦課方式)を解説し、「将来の年金が減るのでは?」という不安に答えます。高橋は、人口減少による影響を認めつつ、破綻はすぐには来ないと主張。
- 医療費や介護費の自己負担問題を取り上げ、公的制度の限界と自己準備の必要性を説きます。
- 「長生きリスク」に備えるため、年金以外の収入源を持つ重要性も示唆します。
第5章 個人資産の形成・防衛術
老後の資産管理に焦点を当て、実践的なアドバイスを提供します。
- 資産運用: 預金だけでなく、株式や投資信託などリスクとリターンを考慮した選択肢を紹介。ただし、「リスクを取らないのもリスク」と警告。
- インフレ対策: お金の価値が下がる中で、資産をどう守るか。例えば、物価上昇率を上回る運用を考える必要性を説きます。
- 詐欺や悪徳商法への注意喚起も含まれており、シニアが陥りがちな落とし穴を回避する方法を提案します。
終章 シニア就業者に役立つ新視点
シニアが働き続ける場合の経済的メリットと注意点をまとめます。
- 労働市場での需要(例えば、経験を活かした仕事)や、収入が年金に与える影響(在職老齢年金制度)を解説。
- 「働くことは健康にも経済にもプラス」としつつ、無理のない働き方を模索する視点を提供。
- 経済学的な思考で、自分の労働価値や時間配分を見直すヒントを与えます。
全体の特徴
高橋洋一は、専門家としての経験(元財務官僚)と豊富なデータを活かしつつ、シニア層に寄り添った平易な語り口で書いています。各章は独立しているため、興味のある部分から読むことも可能です。経済学を通じて、老後の不安を減らし、賢い選択をするための実践的な指南書と言えるでしょう。
興味のある方は是非本書を手に取ってみてください!